そのとき、まだ妊娠27週目、胎児の体重1000gちょっと。
もう子宮口が2、3cm開いているということで、診療所から地元の病院に、すぐ入院することに。
病院に到着すると、改めて再検査。
検査が終わったのは、夜10時30分。
即入院だったので、何の用意もしていなく、私が頼れるのは、もちろん「M」だけ。
でも、「M」には翌日仕事があります。
次の日、会社に遅く出勤したMに、会社の上司や同僚がこう言ってくれたそうです。
「奥さん大丈夫?奥さんの世話、大変でしょ?仕事変わってあげようか?何かできることがあったら言って。」・・・・うぅ、うれしい言葉です。
でも、Mは大丈夫だと言って、仕事は自分でしてました。
最初の数日間、様子を見るため、Mは、朝病院に来て遅くに会社に行き、早めに退社して病院に来てくれたり、たまには会社に行かず、病院で仕事してました。
こんなに融通が利くのかと。。
そして一週間後再度検査をしたら、子宮口が同じく開いたまま、そして、一週間前の検査結果で「膣」に感染していることが発覚。
そこで先生に、「ここにはNICU(新生児集中治療室)がないため、大学病院へ行くように」と告げられました。
私は、まさか今すぐとは思わず、
先生に、「いつですか?」と聞いたら、「今!」。
この搬送決定は、13時ごろで、荷物と救急車の手配が終わり次第出発。(この間30分程度)
そこで、びっくりした私は、病院から車で20分離れた会社にいるMに電話。
私:「どうしよう!今すぐ大学病院に行かなきゃいけないんだって。M!来れる?」
普通、会社で働いてたらそんな急なこと無理ですよね?
しかも、一時間後に、イギリスにいるお客様とドイツの違う場所にいるお客様との電話会議があったんです!
いくらなんでも無理です。
私は、それを聞いた時、あきらめました。
電話を切った後、心細くまた、事の重大さにびっくりして、ちょっとテンパッて涙が出てた時、再びMから電話。
M:「大丈夫、すぐ行ける。どうしたらいい?直接大学病院に行った方がいい?」
私:「え?どうして?ミーティングあるでしょ?」
どんなに心強かったことか!!
後で聞いた話では、いつも一緒に仕事しているドイツ人のお客様が率先して、「すぐ、奥さんのところに行ってあげて。ミーティングは明日、改めて予定を組んでやりましょう。イギリスには私から連絡しとくから」だって。。
それを聞いたときの気持ちをどう表現したらいいか!
仕事より、家族を大切に考えてくれる、人間の優しさを感じた瞬間でした。
もちろん、仕事をするときは、バッチリしますよ。
その後、すぐ、本当にすぐ、間一髪、搬送される前に来てくれました。
早すぎる!ドラえもんの「どこでもドア」でも使ったのかというくらい(^^;)
退院する間、Mはなるべく病院にいられるように時間を作ってくれいて、そのように寛大に時間を許してくれた会社の方にも感謝です。
退院してからは、入院している間、仕事時間が少なかったので、数日、その分を取り返すため、遅い帰りになりましたけど、そんなのなんの問題もありません。
ドイツ人は、融通が利かなく、頑固で、自己主張が強いなどと、あまりいいようには見られてはいませんが、私は、本当はすごく優しい人たちだと思っています。(そりゃ、たまに変な人もいますけどね。)
私は、こっちに来てから、人間の優しさに触れてばかりです。
だって、本当に困っている人いたら、見てみぬふりする人いないですから!
ちなみに、今私は、何の問題もなく臨月に突入中。
そして今のMは、新しいプロジェクトが始まって、毎週泊りがけの出張をしなければならないにもかかわらず、出産間近というわけで、出張を当分控えることを伝え許可され、忙しい時期なはずなのに、出産後3週間ほどの有給休暇を取る許可までももらっています。お客様までが、「当たり前」と言ってくれているそうです。
日本では本当に考えられないことです。
「仕事が一番」ではなく、本当に「家族を優先」にしてくれる、できることに、「人間らしい生活ができるドイツ」を再び感じた時でした。
最後に、お国柄もあると思うけど、普段、人間関係をより良く築いていることも関係があるのかもしれません。

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